「上唇小帯」ってなに?
みなさんは「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」という言葉を耳にされたことはありますか?ちょっと聞き慣れないかもしれませんが、これは上唇の内側と歯ぐきの間をつないでいるすじ状の組織のこと。口を大きく開けて上唇をめくると、真ん中に細いひだが見えるはずです。
この「上唇小帯」は、実は口の機能や成長に深く関わる大切な部位です。今回は、3歳前後のお子さまの保護者の皆さまに向けて、「上唇小帯」の役割や気をつけてほしいポイントをわかりやすくご紹介します。
上唇小帯の役割って?
上唇小帯の役割は、主に以下の通りです:
- 上唇の動きを安定させる:表情をつくる動きや、話す・食べるといった口の運動に関わります。
- 歯列や口腔の発育に影響する:歯の位置や噛み合わせ、上唇の動きが正しく機能するために重要です。
- 口腔機能の形成をサポートする:発音や飲み込み、表情づくりに関わる筋肉の成長に影響します。
特に乳幼児期は、これらの機能が発達する大切な時期なので、上唇小帯の状態にも注目する必要があります。
発達段階でよくあること
3歳ごろのお子さまでは、上唇小帯がやや太くて歯ぐきの高い位置までつながっていることがあります。これは珍しいことではなく、成長とともに自然と落ち着いてくるケースがほとんどです。
ただし、以下のような場合には注意が必要です:
- 前歯のすき間が大きく空いている
- 歯みがきのときに小帯が邪魔でうまく磨けない
- 話し始めたばかりで発音が気になる
- 食べるときに唇の動きがぎこちない
- 小帯が傷つきやすく、出血することがある
これらの症状が見られた場合には、歯科医師によるチェックをおすすめします。
保護者の方へのアドバイス
上唇小帯は成長とともに変化します。過度に心配する必要はありませんが、お子さまの成長を見守るうえで、ちょっとした「気づき」が大切です。
ご家庭でできるチェックポイント:
- 前歯のすき間の広さ
- 食事中やおしゃべり中の唇の動き
- 歯みがきのときに小帯が邪魔になっていないか
- 小帯に赤みや出血がないか
気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。当院では、お子さまの成長段階に合わせた丁寧なカウンセリングと診察を心がけています。
上唇小帯の治療について
稀に、上唇小帯が強く張っていて、歯並びや発音などに悪影響を与える場合には、切除(小帯切除術)を行うこともあります。ただし、これは専門の判断が必要な処置です。すべてのお子さまに必要なわけではなく、慎重に診断します。
「切る」という言葉に驚かれるかもしれませんが、最近では局所麻酔やレーザーを使って短時間で痛みの少ない処置が可能になってきています。
まとめ
お子さまにとって、「上唇小帯」は口腔機能の成長において見逃せないポイントのひとつです。保護者の方が日々の中で少し意識することで、お子さまの健やかな発達をサポートできます。
わからないことがあれば、いつでも歯科医師にご相談ください。お子さまの健やかな笑顔づくりを一緒に応援しましょう